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「高齢者見習い 50代の準備」

 今年59歳になる「アラ還」記者。年金を受け取れる60歳になるのも間近です。

 えっ、年金って65歳から受け取るもんじゃないの? まあそうなんですが、年金は60歳から75歳まで、好きな時から受け取り始めることもできるのです。

 65歳は、標準的な受け取り開始の年齢で、それより早く受け取る「繰り上げ受給」を選ぶと年金は減り、逆に受け取りを遅らせる「繰り下げ受給」にすると年金は増えます。

 そうした制度の仕組みや「損得勘定」、注意点については、以前の記事(第6回と第7回)に書きました。

年金 私たちの暮らしは

老後の生活を支える公的年金。新たに「年金担当」になった30代記者と、受給開始がそろそろ見えてきた50代記者が、複雑な制度や将来の見通しなどを読み解きます。

 マネーリテラシー(お金に関する知識や判断力)低めで、「資産運用」などにも自信がない私は、「なんとか70歳までは頑張って働き、年金の受け取りを遅らせ、受給額を増やしたい」と考えています。

 そんな記事が出た後、71歳の女性の読者から手紙を受け取りました。この女性は、やはり70歳まで受給を繰り下げて年金を増やそうとしました。

 でも、思わぬ落とし穴があり、その願いはかないませんでした。くわしく話を聞きました。

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昨年4月に年金事務所を訪ねたときに渡された説明資料。遺族年金の受給権が発生した時点で、繰り下げ受給の増額率が固定されると書いてあるが、なぜそうなるのか理由の説明はなかった

なぜ、そんなことに……

 「え、せっかく年金を受け取るのを遅らせたのに、そんなことになってたんですか?」

 昨年4月、東京都内の年金事…

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